INTERPRETATION

第306回 「戦友」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

comrades-in-arms (戦友)
They are not only husband and wife but also comrades-in-arms.  (彼らは夫婦でもあり戦友でもあります。)

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「戦友」を英語でcomrades-in-armsと言います。comradeは「同輩、同志」のことで、語源はスペイン語のcamarada(同室の者)。comr-は「部屋=camera」を表し、-adeは「集団」のことです。「カメラ」というのも不思議な感じがしますが、cameraには「写真機」の他に「丸天井の部屋」という意味もあるのです。オックスフォード大学図書館の一部はRadcliffe Cameraと呼ばれ、確かに丸天井の建物となっています。

ちなみに「戦友」は他にbrothers-in-armsとも言いますが、こちらはどちらかというと同性、とりわけ戦場で逆境に立ち向かう男性同士というニュアンスがあるようです。もっともこれからの時代は多様性が求められるので、ことばも変化していくかもしれませんね。

なお、今回出てくるarmsは「武器」を指します。in armsを使った他のフレーズではbe up in arms があり、「武器を持って立ち上がっている」「憤慨している」という意味です。一方、baby in armsは「乳児」のことで、こちらは「腕(arms)」で抱っこする様子から生まれた表現です。

armから派生してarmchairを敢えて辞書で調べたところ、「肘掛け椅子」の他に「実体験を伴わない」という形容詞があることを再確認しました。armchair travelerは「紙上旅行者」のことです。こうして辞書遊びをしているとあっという間に時間が経ってしまいます(笑)。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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