HOME > 通訳 > ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

ビジネス・経済・金融などの分野の翻訳や通訳でよく出てくる表現をイギリスのメディアから取り上げてお届けします。

第141回 イギリス英語とアメリカ英語、どう違う?

先週末、イギリスの翻訳通訳協会が開催するOne day in ... Gray's Innというイベントに行ってきました。由緒ある英国らしい素敵な建物で講演や夕食会があり、美しい庭園ではランチやドリンクを頂きながら他の通訳者や翻訳者とのネットワーキングを楽しみました。

この日の講演で一番印象に残ったのは、Lynne Murphy(『The Prodigal Tongue』の著者)さんがアメリカ英語とイギリス英語の関係について話されていたことです。私は渡英して20年になりましたが、元々は日本の中高でアメリカ英語を学び、大学は「英米語学科」を卒業(在学中に1年間アメリカ留学)、そのあと英語講師になりましたが、教材はすべてアメリカ英語。一生懸命真似して覚えたアメリカ英語を話していたので、渡英前はイギリス人にアメリカなまりでいじめられる夢も見たくらいです。ですから、アメリカ英語は私にとって関西弁のような懐かしさがあります。

イギリス人とアメリカ人は他の国(ドイツ人やフランス人)に比べると、お互いに好意を抱いているようですが、「共通言語」の「英語」に関しての感情はとても複雑です。『The Prodigal Tongue』の表紙もアメリカとイギリスではこのように(参照ページ)絵が異なるだけでなく、サブタイトルがアメリカ版では、the love-hate relationship between American and British Englishですが、イギリス版ではthe love-hate relationship between British and American Englishと語順が異なります。

イギリスでは "Americans have ruined the English language(アメリカ人が英語を台無しにした)"とか、"British children turn to American English(イギリスの子供、アメリカ英語に走る)"などが見出しになるようにアメリカ英語化を嘆く人が多くいます(turn toは、turn to alcohol/drugsのように「(悪に)走る」のニュアンス)。特に年配の人たちは、自分たちの英語を格上と見なしアメリカ英語を見下す傾向があります。

アメリカ英語とイギリス英語は、発音や単語の違いだけでなく、表現の仕方が微妙に違ったり、同じ言葉でもニュアンスが違ったりするのでややこしいこともよくあります。

例えば、「エレベーター」のことを米語ではelevatorだけど英国ではlift、「歩道」はsidewalk(米)、pavement(英)などという単語の違いや、labor(米)とlabour(英)、recognize(米)/recognise(英)のようなスペルの違いはよく知られていると思います。

ニュアンスの違いではquiteがアメリカ英語では「とても」とほめ言葉に使われるのに対し、イギリスでは「まあまあ」になるので要注意です。例:quite goodは「とても良かった(米)」「まあまあだったね(英)」

今回の講演で初めて知ったのは、pleaseの用法の違いです。イギリスではレストランで注文するときCan/May I have a XXX pleaseのようにpleaseを付けないと失礼な客だと思われますが、アメリカでは「pleaseをわざわざ言わなくてもちゃんとやってあげますよ」という暗黙の認識があり、付けると返って失礼に聞こえるとか?! 逆にイギリスでCan I get a coffee?  のようにpleaseを付けないことに加え、haveの代わりにgetで注文するとイギリス人店員をイラっとさせるそうです。

「グローバル化が進む今日、アメリカ英語とイギリス英語も収れんしているのか?」というトピックも興味深かったです。皆さんは、どう思われますか。

ワープロのスペルチェック機能が開発されたのはアメリカだったため、元々はスペルチェック機能というのはアメリカ英語しかなかったとのこと。それで、一時期は特にスペルという点ではアメリカ英語に統一されつつあったそうですが、最近ではイギリス英語でスペルチェックができるのでイギリス英語で書かれた文書が増えているそうです。また、新たに生み出される語もアメリカとイギリスでは異なることが多く、格差は広がっているとのことでした。

このようにイギリス在住で「英語」の研究をしているアメリカ人学者の視点はとても興味深いです。The Prodigal Tongueは当日割引価格、著者のサイン入りで販売していたので購入しました! まだ読みかけですが、また興味深い内容を紹介したいと思います。待てない方はアメリカ版でよろしければ(!)アマゾンジャパンで購入できます。

ところでこの日、2018年度のアワード授賞式も行われました。通訳資格試験部門の最優秀賞(Best Performance on Interpreting Assessment)をいただき、大変光栄に思っております。これからもステップアップを目指してがんばります!

2018年6月25日

第140回 language attritionとは

皆さん、こんにちは。今週は、曇り空のパリからお届けしています。
今回のトピックは、language attrition。ふだん取り上げる時事ニュースとも、役立つ表現とも違いますが、興味深い記事を読んだので紹介します。

その記事の見出しは "Can you lose your first language?" (参照記事)、「第1言語(母語)を失うことはあるのか?」ですが、まさにそれがlanguage attrition(母語喪失)ということになります。

どういう人が母語を忘れやすいかというと、まずは長い間海外に在住する人々(long-term migrants)が挙げられます。私も渡英して20年が経ちましたが、海外に住むと母語をすぐ忘れるということは学生時代に1年留学しただけでも気が付きました。

けれども、この記事によると、母語を喪失するのは海外在住者だけではなく第二外国語を学んでいる人にも起きるとのこと(It's also not just long-term migrants who are affected, but to some extent anyone who picks up a second language)。ということは、本コラムをお読みの皆さまほぼ全員に当てはまるのではないでしょうか(ドキッ?!)

9歳くらいで海外に引っ越すと母語をすっかり忘れるという研究結果もあるようです(Studies on international adoptees have found that even nine-year-olds can almost completely forget their first language when they are removed from their country of birth)。

さすがに大人になってから海外に引っ越すと完全に母語を忘れることはなさそうですが、それでも例外があるようです(in adults, the first language is unlikely to disappear entirely except in extreme circumstances)。例えば、ドイツでナチスによる迫害を受けた後に国外へ移住した人は、それ以前に引っ越した人よりもドイツ語をすっかり忘れる傾向が高かったようです。母語とトラウマの関連が強いと母語を喪失しやすいとのこと。

また次の記述も興味深いです。
Mingling with other native speakers actually can make things worse, since there's little incentive to stick to one language if you know that both will be understood. The result is often a linguistic hybrid.
これは例えば、私がイギリス在住の日本人ママや通訳・翻訳仲間とおしゃべりするときに日本語と英語をごちゃまぜにして話すことで互いの日本語の能力が落ちている、ということです(ドキッ?!)

海外暮らしをする家庭では、母語と居住国の言葉を混ぜて話しがちですが、そうするとどちらか一つ言語だけで通すのが難しくなります(this informal back-and-forth can make it harder for your brain to stay on a single linguistic track when required)。

じゃあどうしたらよいのかと悩んでしまいます。私はもうイギリスにいる日本人のお友達とは話さない方がいいのか、子供との会話はどちらかの言語に絞った方がいいのか......。

けれども、記事の最後の方にはこう書かれています。
Attrition is not a bad thing. It's just a natural process(中略)native language attrition is reversible, at least in adults(母語喪失はそれほど悪いことではなく、自然なプロセスであり、少なくとも成人の場合また取り返すことが可能)(ふぅ!)

a trip home usually helps(帰国するとたいていは母語を取り戻すのに役立つ)とも書かれています。確かに、最近ではPodcastを含めネットを使うと海外からでもかなりの日本語情報が手に入りますが、やはりその国にいるのとは全然違います。私自身は、これまで年に一度くらいは一時帰国してきましたが、もうすぐ子育て一段落なので(涙)今後はもっと日本で過ごす時間を増やしたいと思います。

本コラムをお読みの方は、バイリンガルで子育てをしている方も多いのではないでしょうか。これも親としては悩みの種ですが、私はバイリンガル教育よりも学習能力、コミュニケーションを重要視してきました。またYou can't learn unless you are happy(ハッピーでなければ学べない)を持論としています。ハッピーで学習能力があれば、後からでも言葉は学べるからです。

海外在住組には「日本語じゃないと答えない」というルールを作るママもいますが、それで親子のコミュニケーションが少なくなれば本末転倒。もちろん、ちゃんとバイリンガル教育に成功された方々もたくさんいて、それは素晴らしいと尊敬します。その中には現在会議通訳者として活躍されている方も何人もいます。

今、二人の息子は20歳と17歳。日本語はあまりできませんが、元気にすくすく成長しました。次男はいつか日本で働きたいと言っています。

以上、language attritionとは少しそれてしまいましたが、今回は母語喪失に関する記事を紹介しました。外国語の学習も大切ですが、母語を見直すきっかけとなれば幸いです。

2018年6月18日

第139回 イタリア新政権誕生

本コラムが掲載される頃には世界中で米朝首脳会談のニュースが流れていることでしょう。二転三転した後に開催されるトランプ大統領と金正恩委員長の会談。いったいどうなるのか楽しみですね。
先週末は、カナダでG7首脳会談開催。アメリカが貿易問題や環境、中東問題などで他の6カ国と意見が合わないのでG6+1などとも言われるようになりましたが、今週はそのG7に就任直後に出席したイタリアの首相と新政権を取り上げます。

イタリアで総選挙が行われたのは、なんと3月4日。3カ月も前のことです。選挙の結果、これまで政権を握ってきた政党が敗退し、二つのポピュリスト(大衆併合主義)政党が大きく議席数を延ばしたものの、過半数を獲得した政党がなかったため政権誕生までずいぶん時間がかかりました。

今回勝利した二つの政党はこちら。

・Five Star Movement
(五つ星運動 / 伊では Movimento 5 StelleなのでM5Sと略される)
今回の選挙で32%を得票し、第1党となった左派政党。人気コメディアンのベッペ・グリッロが2009年に設立。イタリア南部の貧困層から支持を得ている。

・The League(同盟)
今回の選挙で18%を得票した右派政党。イタリア北部の富裕層からの支持を得ている。移民排斥を訴えている。

誰が首相になるかでもめた末、これまで政治に縁がなかった法学者(a non-political lawyer)ジュゼッペ・コンテ(Giuseppe Conte)氏が最終的に指名される。就任して数日後にG7首脳会議にて外交デビュー。

「右派と左派の連立政権(coalition government)なんて、政策が違いすぎるのでは?」と思うかもしれませんが、どちらも減税(tax cut)と社会福祉の充実(benefit increases)を約束していて、EU懐疑派(Eurosceptic)。ユーロ圏からの離脱を訴える強硬派のサボーナ氏を経済相に選んだため、マッタレッラ大統領から却下されて大騒動になりましたが、最終的には他の人が経済相に選ばれ一件落着。

イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領選出のあと、フランスでマクロン大統領が選出されたことでポピュリストの動きが一時期収まったかのように思えましたが、EUで4番目の経済規模を誇るイタリアでこのような政権が誕生したことは先進国社会の大きな流れは続いていると言えるでしょう。

その背景には、イタリアの地理的な事情もあります。地中海に面し、中東や北アフリカに近いため、大勢の移民・難民が過去5年でイタリア沿岸に押し寄せています。それに対してEUからの援助が少なかったことにイタリア人は怒っています。その怒りを受け、新政権は早速移民対策を発表しています。

欧州から遠くに住んでいる人にとってはイギリスのEU離脱(Brexit)とイタリアのEU離脱(Italexit)だったら、Brexitのほうが深刻だと思うかもしれません。けれども、イタリアは先週取り上げたアイルランドと同様にユーロ圏(Euro Zone)に入っているため、Italexitの場合、ユーロという通貨の崩壊につながりかねない深刻さが伴います。また経済規模ではギリシャの10倍なのでGrexitとも比較になりません。Too big to bail out(救済するには大きすぎる)とも言われています。

ということで、Brexit以外のヨーロッパ諸国の動きにも今後要注意です。

2018年6月11日

第138回 Brexit Update: アイルランドとの国境問題

皆さん、こんにちは。早くも6月に入りましたね。6月と言えば、日本では「梅雨」のイメージですが、ここイギリスでは受験シーズンです。大学や高校の学年末試験(final exam)は5月~6月。早いところはもう終了しましたが、これからが本番という学生も多くいます。

先週は、米朝首脳会談や貿易摩擦、イタリアの政権誕生など、様々な政治ニュースが流れました。そんな中、久しぶりにBrexit関連について取り上げます。グローバルニュースでは取り残されている印象がありますが、難題は続いています。

一番の課題はアイルランド共和国との国境問題です。これは本コラム第78回第88回でも取り上げましたが、歴史的な背景もあり大変複雑です。

まずは基本事項のおさらいをします。

イギリスの本州にあたるグレートブリテン島(Great Britain)の西にあるアイルランド島は、南北に分かれています。北部「北アイルランド(Northern Ireland)」はイギリス(the UK)に属しますが、南側「アイルランド共和国(Republic of Ireland)」は独立国家です。けれども19世紀から100年以上もイギリスの支配下に置かれていたし、北部はイギリスに属していて、共通旅行区域(CTA)制度があるためパスポートの検査なく両国を往来できるので、現実には独立国家のようで、まだイギリス属国のようなイメージです(こんなことを言うと、アイルランド人に怒られそうですが...)。実際、ダブリン(アイルランド共和国の首都)に何度か行ったことがありますが、イギリス在住者にとってあまり異国情緒はありませんでした(UKに属するスコットランドのほうが異国情緒があります...)。

難題となっている理由は、以下の通りです。

1.イギリスは単一市場 (the Single Market)や関税同盟(the customs union)からの撤退を希望している。
2.でも半分属国(切っても切れない関係)のアイルランドとは、検問なしに自由なヒトとモノの動きを続けたい(No hard border/厳格な国境回避)。
3.ところが単一市場では「ヒト・モノ・カネの自由な動き」がワンセットになっていて、おいしいとこどりは許さない(No cherry-picking)というのがEU側の主張。(イギリス側の本心は「アイルランド人は来てもいいけど、元東ヨーロッパの人は......。」)
アイルランドがEU加盟国である限り、例外は認められない。
4.それに対して、イギリス側はなんとか解決案を認めてもらおうと努力を続けている(が、今のところ解決の見込みは薄い)。

そこで、今回はその解決案について紹介します。

イギリス側は次の2つを提案しています。
1.Customs partnership(関税パートナーシップ):新たな関税の枠組みを設け、イギリスに入るモノに関税(tariffs)が課される。モノがイギリスを通過して外国に輸出されたりイギリスの関税の方が低ければ、輸入業者は差額を払い戻し請求ができる。

2.Maximum Facilitation(最大限の円滑化、max facと略される):最新のテクノロジーと認証企業制度(trusted-trader schemes)を用いて、国境検問をできるだけ少なくする。

メイ首相は前者を、Brexiteersと呼ばれる政治家は後者を推進しています。

いずれにしてもシステムを整備するための時間とコストが問題となっています。またEUはどちらの案にも難色を示しており、Goodbyreland(グッドバイルランド:アイルランドも離脱すれば?!)という新語も生まれているほどです。けれども、当のアイルランドはEUが大好き。92%が親EU派という世論調査の結果があります(関連記事)。ユーロ圏にも属しているのでGoodbyrelandには通貨の問題も発生します。現実的な解決策とは程遠いと言えるでしょう。

今月末にEU首脳会談(EU Summit、正式にはthe European Council 欧州理事会)にてこの問題が話し合われる予定です。それまでには英政府側の方針を一つにまとめようと現在討議が行われているようです。ただ、最近は再びItalexit(イタレグジット:イタリアのEU離脱)という言葉も飛び交うようになり、EUの難題は後を絶ちません。

以上、Brexit Updateでした。アイルランドの記述(特に「属国うんぬん」)はあくまで個人的見解ですので、間違ってもアイルランド人に向かって「今でも半分属国なんだってね」なんて言わないでください! (けんかを売りたくなければ)
隣人も含め、たくさんのアイルランド人の知り合いがいます。陽気でおしゃべり好きな人が多いです。でも、上記の内容を私が持ち出すということはないです。


2018年6月4日


第137回 GDPRとは?

皆さん、こんにちは。今週は、GDPRを取り上げます。欧州にお住いの方なら「またその話か?!」とうんざりされるかもしれませんが、他の地域にお住いの方はどのくらいご存知でしょうか。GDPRとはEUの新しい規制ですが、多くの日系企業も影響を受けているし、今後よく似た規制が他国でも施行される可能性があるので、知っておくと役に立つことがあるのではないかと思います。

まずGDPRとは、The EU General Data Protection Regulationの略で「一般データ保護規則」と訳されます。

EU(欧州連合)の規制にはいくつかの種類がありますが、特に「Directive(指令)」と「Regulation(規則)」の違いを押さえておく必要があります。Directiveの場合は、国内法に置き換えられてから各国で効力を持ちます。それに対し、Regulationの場合はEUで制定されると各加盟国に直接的な効力を持ち、しかも国内法に優先します(余談ですが、イギリスのEU離脱派が離脱したがっている理由の一つはここにあります。参照記事)。

これまでもEUではDirective 95/46/ECというEUデータ保護指令によって規制されていましたが、GDPRはDirectiveからRegulationに格上げされ、EUデータ保護法の範囲が拡張されました。そのGDPRが先週(5月25日)に施行。多くの企業が対応に追われました(GDPR関連のメールを受け取った方も多いのではないでしょうか)。

では、GDPRとはどんな規則なのでしょう?
これは個人データの取り扱いを厳しく規制する法律で、EU域内での個人データの処理や監視のルールが定められています。EU域内に居住する人々のデータの収集・保管・移転が対象となっているので、日系企業にも影響があります。個人の権利が強化され、遵守しない企業には厳しい制裁が実施されることになっています。

公式サイトは、こちらです。

ここで問題となる個人データ(personal data)とは何でしょう?
GDPRは、以下のように定義しています。
any information relating to an identifiable person who can be directly or indirectly identified in particular by reference to an identifier. This definition provides for a wide range of personal identifiers to constitute personal data, including name, identification number, location data or online identifier, reflecting changes in technology and the way organisations collect information about people.
翻訳調にすべて訳すと頭が痛くなりますが、おおまかに「人物を直接的あるいは間接的に特定できる、あらゆる情報」で「氏名、ID番号、位置情報、オンライン識別子(IPアドレス、閲覧履歴、購入履歴等)」などが含まれます。

企業が、このような個人データの取得するには個人(GDPRでは「データ主体者/data subject」という用語を使います) の合意(consent)が必要で、情報をEU域外に持ち出す場合もデータ主体者の合意が必要、また求めに応じてデータを削除できる仕組みが必要であり、データ管理には「データ保護責任者 (Data Protection Officer)」の設置が求められています。

個人は、情報へのアクセス権(Right to Access)が強化され、個人データがどこでどのような目的で利用されているかなどを企業に確認できるようになります。また企業には個人データの写しを無料で提供する義務があります。

「データ削除(Data Erasure)」を求める権利は「Right to be Forgotten(忘れられる権利)」とも言われます。2014年からEUで認められていて、日本でも既に裁判で争われているようです(関連記事)。

GDPRがEUで採択されたのは約2年前ですが、施行までの2年間で個人データ取り扱いがずいぶんと重要視されるようになりました。特に、数カ月前明らかになったフェースブックのデータ不正共有疑惑(関連記事)は、アメリカ大統領選への影響もあったと疑われています。これからますます、企業が個人データを取り扱うことは増える一方と考えられており、GDPRのような法整備が他の国々でも進むのか注目です。

個人データと言えば...
最近またダイエットを再開しました! 2年前のダイエットの効果は少しはあったのですが、また気が付いたら......。そこで、カロリー摂取・消費を計算してくれるアプリMyFitnessPalFitbitを使っていますが、これに入力する個人情報は半端じゃないなと思います。何を食べて何を飲んだか、どこを走ったか/歩いたか、どんな運動をして、どのように体重が変動したかがすべて記録されているのですから。仮名で登録しても、位置情報で住所はバレバレです。そう思うと、GDPRのような厳しい規制で企業を信頼して商品やサービスを利用できることって、大切だなと思います。


2018年5月29日



2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次 》


↑Page Top

プロフィール

グリーン裕美

グリーン裕美さん
結婚を機に1997年渡英して以来、フリーランス翻訳・通訳として活躍。ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。 元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。 向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
Follow me on Twitter!