INTERPRETATION

第191回 「人に支配権を与える」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

give … the whip hand (~に支配権を与える)

I think Bob is doing well. Maybe I will give him the whip hand to lead the team. (ボブは頑張っていると思います。チームを引っ張れるよう、もしかしたら支配権を与えるかもしれません)

今回ご紹介する表現はgive … the whip handというフレーズです。whip handとは「鞭を打つ手」ですが、他にも「支配的立場」という語義があります。have (またはhold) the whip handで「~を支配する、左右する」という意味になります。

whipという語が誕生したのは14世紀初めです。中英語wippenから生まれました。これは「上下に動く」という意味です。whip自体には「鞭打つ」「厳しく教え込む」などの動詞や、「鞭」「院内幹事」などの名詞としての語義もあります。ちなみに「ホイップクリーム」は英語でwhipped creamと言いますが、日本でカフェメニューやパッケージの表示を見ると、whip creamと書かれていることが少なくありません。つい私などツッコミを入れたくなり、「クリームの鞭打ち?」などと想像してしまいます。whipを命令形としてとらえてしまうのですね。

ちなみに世界の中では今なお「鞭打ち」を刑罰として用いている国があります。英語ではflagellationまたはfloggingなどと言います。放送通訳で初めてこの語に出会った際、まったく想像がつかず、一瞬黙ってしまったことを覚えています。こうして訳語に詰まった場合、一段階上からとらえて苦し紛れの訳で乗り切ることがあります。このときは「厳しい刑を受けました」と言って何とか切り抜けたのでした。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学非常勤講師。 上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。 ロンドンのBBCワールド勤務を経て現在はCNNj、CBSイブニングニュースなどで放送通訳者として活躍中。 NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説を担当。 ESAC(イーザック)英語学習アドバイザー資格制度マスター・アドバイザー。 通訳学校にて後進の指導にあたるほか、大学での英語学習アドバイザー経験も豊富。 著書に「通訳の仕事 始め方・稼ぎ方」(イカロス出版、2010年:共著)、「英検分野別ターゲット英検1級英作文問題」(旺文社、2014年:共著)。

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