INTERPRETATION

第252回 「慎重に始める」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

dip one’s toe in the water (試しに始める) 
Before becoming an interpreter, I dipped my toe in the water by doing translation work. (通訳者になる前、私は翻訳の仕事を試しに始めてみました。)

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「物事を本格的に始める前に少し試してみる」という状況を英語でdip one’s toe in the waterと言います。「つま先を水につけることで温度を確認する」という状況から生まれたフレーズです。the waterを省いてdip one’s toe in としても使えます。

なお、toeは「つま先」ですが、オックスフォード新英英辞典を調べたところ、”any of the five digits at the end of the human foot”と書かれていました。digitは0,1,2などの「アラビア数字」や「桁」という意味の他に、「指」という語義もあります。元はラテン語のdigitus(手足の指)から来ているのですね。「デジタル (digital)」の語源もdigitalis(指の)です。なお、カタカナでは「デジタル」と言いますが、英語の発音は「ディジタル」となります。

ところで私は学生の頃、田舎の祖父母宅へ泊りに行ったことがあります。幼い従妹たちは日ごろから祖父母の高温お風呂に慣れており、「ザブーン」と入っていました。しかし私にとっては熱すぎ!まさにつま先を恐る恐る水面につけてからの入浴でした。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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